展覧会名:複眼と対称のノード
NODE of Compound Eye and Symmetry
会場:京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
展示室:@KCUA1
会期:2019年8月31日(土)~9月16日(月・祝)
開館時間:11~19時
休館日:平日の月曜日
主催:京都市立芸術大学
入場料:無料

版画は、その制作プロセスが、単なる「作り方」以上の意味を持つ特異なメディアだと感じています。刷られた版の重なり順や、分版を察する事で作者の意とする絵画空間を感じ取ったり、作為を超えた物理現象の扱いで偶然性との距離感を推し量ったり、イメージ生成の仕組みによって作者の批評性を読み取ったり、など、観客が制作プロセスを逆算する事で、作品の構造にも繋がると考えています。現在、私はイメージ生成に、写真から3次元データを得るフォトグラメトリー技術を使っています。対象物の色や柄を無視して、表面の形だけを抜き出すことで現れる奇妙な世界に魅了されました。日頃、見ている世界の認識を逆照射する可能性を感じています。今回、会場構成の中に制作プロセスに関わるエリアを設け、作品に対するメタ的な構造を与えようと考えています。また、会場を客観的に捉えると、@KCUAは京都芸大のサテライトギャラリーです。そこで、大学所属の研究者として、現在進行中の研究の中間発表を、また、版画専攻の教員であるという要素を踏まえて、卒業生、在学生で担当した・している学生の版画作品も合わせて展示します。それらを、繋ぎ合せて版画作品の構成要素、自身の構成要素を並置し繋ぐ、そんな空間を構想しています。

タイトルについて
複眼=多視点から捉えた写真を元に紡ぐフォトグラメトリー技術は、トンボなどが持つ複眼構造と似ている部分があります。そして、作品とプロセス、自らの立ち位置を多元的に捉える事と重ね合わせています。 対称=Symmetry 軸や点を起点に回転させると一致する性質。作品とプロセス、創作と研究、作家と教員など、二項に分断しているように見えても、見方を変えれば、完全に一致して同一の存在になる様を表しています。 ノード=コンピュータネットワークで情報伝達の結節点。結び目。集合点。会場に展示された作品。版画制作の現場。計測の機器。フライヤー。映像。テキスト。それぞれがノードといえます。そして、それらを繋ぐ関係性がネットワークです。

出品者・研究代表者
吉岡俊直 (京都市立芸術大学 版画専攻 准教授)

出品者
大野 咲樹 (京都市立芸術大学 版画専攻 大学院1年生)
木下 珠奈 (京都市立芸術大学 版画専攻 2016年修了)
小西 景子 (京都市立芸術大学 版画専攻 2018年修了)
佐古 俊介 (京都市立芸術大学 版画専攻 学部4年生)
佐藤 雄飛 (京都市立芸術大学 版画専攻 大学院2年生)
藤田 紗衣 (京都市立芸術大学 版画専攻 2017年修了)

科研費 研究分担者
村上史明 (筑波大学 芸術系 助教)

特別研究 共同研究者
田中栄子 (京都市立芸術大学 版画専攻 准教授)

科研費 基盤研究(C) 18K00211 2018年度~2020年度
課題名「フォトグラメトリーによる動的人体の3Dデータ取得と享受の研究」
平成31年度 京都市立芸術大学 特別研究 2019-003
テーマ「レーザーとドローイングマシンによるリトグラフ(石版石)への映像利用の研究」